819/1085
勇者の定義 23
思わず、鼻で笑う。
核を消す?
あの時とは規模が違うのだ。
そんなまどろっこしいことをしなくとも――
「――跡形もなく消し飛べ……!」
「……!!」
チヒロは太刀を振りかぶる。
「『抜刀……竜殺し』」
太刀が共鳴し、大きく吠える。
「や、ヤメて……!」
肉塊を……魔王の形に戻ろうとするそれを庇うように、マオは立ちふさがる。
馬鹿なことだ。
せめて、逃げ出していたのなら、僅かでも長生き出来たものの……
この娘は何度同じ過ちを繰り返すのか……
とことんまで救われない。
チヒロは侮蔑の表情を浮かべ、太刀を振り下ろした。
「喰らい……尽せ……!!」
全てを奪う光が太刀から放たれた……!!
その時――
「……ハン」
チヒロと同じようにマオも笑った。
「『メイティ・ラグネリアス』!!」
放たれた竜殺しの光はマオの前に現れた異空間に吸収された。
それと同時に高速で回復した魔王?がチヒロの両手を抑えるよう背後から捕まえたのだ。
「な……!?」
「……カッタと思った?ソノ時こそ……一番足元がスクわれやすいタイミングなんだよ」




