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勇者の定義 22
比喩でもなんでもなく、まさにミンチ肉。
ぐちゃぐちゃの肉片に変わり果てるまで魔王?は切り刻まれる。
その間、チヒロもマオもただ見ていることしかできなかった。
マオはただ、その凄惨な光景に身体が震え、身動きが取れなくなっていた。
逆にチヒロはあえて、動かない。
確かめたいことがあったからだ。
やがて、斬撃は力を全て使い果たし、消失した。
「さて……どうなる?」
首を断ち切っても再生した魔王?……ならば、ミンチになったらどうなるのか?
その答えはすぐに示された。
ミンチとなった肉片は胎動し、収束していく――
その光景を見て、チヒロは思い出した。
かつて、魔王を倒した後にあの”終末の獣”時のことを……
スケールこそ違うがあれもこんな風に再生しなかっただろうか?
なら、あの時と同じ……これは姿形こそ、魔王のままだが、
魔王という個ではなく、何かの集合体のようなものだ。
あの時と同じように、集団を纏める核のようなものを消し去ればいい……
「……ハン」




