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勇者の定義 19
「うううう……」
マオは身体を丸め、頭を両手で抱えるように守ることで、致命傷を避けようとしていた。
「あーあ、見てらんないね。
そんなことしたら、余計苦しむだけだよ?」
チヒロの言葉は真実だ。
仮にエネルギー切れまで耐えきったところで、チヒロは次の斬撃を繰り出すまでだ。
つまり、粘ったところで意味はないのだ。
結局はマオが死ぬまで、身体を切り刻まれるのだ。
それなら、いっそ、諦めて急所を差し出し、早目に死ぬほうが、苦しまずに済む。
しかし、マオは亀のように身体を丸めたままひたすら耐える。
それは生き物としての本能だった。
苦しむとわかっていても、それでもなお人は簡単には命を手放せないのだ……
「……タスケて、お父さん」
チヒロは呆れたように、大袈裟にため息をついた。
「無駄だって、アンタの父親は死んだんだから。
それとも、そうやって健気に振る舞ってたら、ワタシが手心加えてくれるとでも思ってる?」
「……」
マオは返事をしない。
いや、出来ない。
何故なら、あろうことか、彼女の願いが叶ってしまったのだから――




