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勇者の定義 18
「今さら、逃げようなんて……もう、遅いのさ!」
チヒロは大きく、太刀を振りかぶる。
「『風刃・断山閃』!」
詠唱の何もかもがむちゃくちゃだ。
それでも、それは発動し、飛ぶ斬撃となってマオに襲いかかった。
「!」
マオは咄嗟に横回転して、その斬撃を避けた。
「『次元層を接続』」
その回避先に現れる刃。
悪魔的な二段構え――
「!!」
それをマオはなんとか、急制動、ブレーキを掛け、ギリギリで止まることで、貫かれることを逃れた。
しかし――
「あーあ、止まっちゃったね」
「……エ?」
避けたはずの斬撃が、マオの右翼を断ち切った。
「ウワぁっ!?」
バランスを崩し、落下するマオ……しかし、それさえも許されない。
斬撃は再び戻り、マオの身体を斬る。
そして、再び回転し、進行方向をマオへ……執拗に彼女の身体を刻んでいった。
「!?!????!」
「駄ぁ目なんだよ、止まっちゃったらさ。
それは、発動したら、全てのエネルギーを使い果たすか、
ワタシが止めるまで、アンタの身を切り刻む技なんだよ。
だから、もう、アンタはミンチになるしかない」




