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勇者の定義 15
火力が違うこと自体は見ればわかる。
しかし、違うと言っても、その質、密度がより高いところにある。
それは技そのものによるものという訳ではなく――
「……なんだ?急に強くなったって?」
「……」
マオはチヒロを睨むように見つめる――
「魔王と力を合わせた時もこんな魔力ではなかった。
怒りでパワーアップした?それともその恰好がパワーアップ形態だって言うの?」
「……アナタには、わからないよ」
「……」
挑発とも言えないような挑発。
しかし、それは確実にチヒロを苛立たせた。
「そうかい、なら――」
「ダカラ、教えてアゲる」
マオは自身の胸元で何かを掴むように握りこぶしを作った。
「コウいう、コトだっ!」
マオを燃え上がるようなオーラが包む。
そのオーラが変容していく……その形は――
「……魔王、だって?」
そこで、チヒロの苛立ちはピークに達した。
「ふざけるんじゃないっ!親子で力を合わした時だって、こんな力はなかった!
”それ”が死んで、どうして、そうなる!?」




