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勇者の定義 7
「『次元――』」
剣を振り下ろせば、全てが終わる――はずだった。
「ヤメてっ!」
重力が反転したように、太刀が跳ね返させられる――
「!?」
「ナ!?」
驚きはチヒロと魔王、両方にもあった。
二人の間に、幼い少女が現れたのだから――
チヒロは咄嗟に反発を利用し、後方へ飛び退く。
「ち――やけに都合のいい話だと思ったら!」
「ま、待テ!この子は関係なイ!!騙すつもりもなイ!!」
魔王は必死に呼び止めるが、チヒロは聞く耳を持たない。
「『閃沙・突貫』!」
少女ごと魔王を貫かんと突っ込む。
「『ラスタ・カメリカ』」
それを少女は魔法の障壁で真っ向から受け止めた。
食い止められた刃を見て、チヒロは確信した。
幼い少女と侮ってはいけない、目の前にいるのは強敵だと。
「やめるんダ、マオ!」
「ドウして?」
「それはこっちの台詞ダ!どうして、出てきたんダ!」
「ソンなの……お父さんが、シンじゃうからに決まってるじゃない!」
「お父さん……そう、アンタ、魔王の娘なのね」




