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勇者の定義 5
「フフ……不快、カ。だが、それハお互いさまだろウ?」
「……まぁ、そっちからしても、配下を潰して回るワタシは目障り、か……」
「そういう事サ」
「だけど、殺し合う相手なんだから、それくらいがちょうどいい」
「殺しあウ?誰と誰がだイ?」
「はぁ?」
チヒロは呆れ顔で頭を振った。
「そんなの……」
「キミと我だというなラ、それは誤りダ」
「……!?」
チヒロは訳がわからず、固まった。
「此方にキミと争う意思はなイ。
互いに互いの命を奪おうとするから、殺しあいだろウ?
我にその意思が無くば、殺しあいではあるまイ」
「……本気で言ってんの?」
「無論ダ。
キミが我を滅ぼすのならば、
それは一方的な殺戮……いや、我が同胞にしてきタことを考えるならば、大量虐殺だナ」
「まさか、そう言えば、ワタシが止まると思ってる?
ワタシはアンタを倒さない限りは、安息は訪れない……そんな言葉では、止まる理由にならない」
「あア……そうカ。
いヤ、そんなことは期待していなイ」




