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いい意味でも、悪い意味でも
「確かに、それはそうですね……」
「その歪み……放置しておけば、どんなことが起こるかわからない」
「っ……!」
ぞくっとした私を見て、ショウ兄さんは苦笑いを浮かべた。
「いや、脅し過ぎたか。
わからないというのは、いい意味でも、悪い意味でもだ。
本当にわからん。だが、楽観視してはいけないのは、確かだろう?」
「え、ええ、その通りですね……」
「それに、だ。
逆に言えば、この歪み、正せば、お前にとってプラスに働くだろうと感じている」
「プラスに、ですか?」
「本来の名前を失っている……逆に言えば、自分自身を封じられているとも取れるだろう?」
「なっ……わ、私が封印を受けてるんですかっ!?」
「無自覚だろうが、その可能性はある。
なら、本来の自分を取り戻せれば、
一緒に封じられていた自分の力に目覚める……そんなこともあるだろう」
「!!」
まさか、だった。
これまでの鍛錬でも、
自分に眠っている力があるかも知れない、なんて、そんなアプローチをしたことはなかった。
「お前はまだまだのびしろがあるということでもある。
そういう意味でも、この事の重要性はわかるだろ?」




