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目をそらすな
何故、不可能だというのか……
一番の要因は決定力不足、要は威力だ。
『ジャイロ・エアスピット』の威力では、当てたところで、
多少のダメージを負っても、ショウ兄さんなら、突っ切ってこられる。
そうなると、魔法を放った直後の無防備な状態で反撃を受けることになる。
だから、駄目なんだ。
じゃあ、どうすればいい…………………………そんなの、私は最初からわかっていた。
目をそらしていた。
切られることのなかった、カード。
それなら、威力の問題は解消し、ある程度、範囲での攻撃にすることが出来る。
そう……『ショット・マグナム』ならば――
問題は、実戦で使える完成度ではないということで――――
「……クリスっ!」
ショウ兄さんが、地面を蹴る。
圧縮された時間の中と言っても、無限に時間がある訳じゃない。
ショウ兄さんはこちらに来る。
私は選択しなければならない。
当てたところで、破られる『ジャイロ・エアスピット』か、
そもそも、まともに扱えない『ショット・マグナム』か、を…………
ショウ兄さんが迫る――
その目を、私は見ていた――




