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防戦では勝てない
「……はぁ……はぁ」
ショウ兄さんの言葉の意味……今は余計な思考は必要ない、再集中するんだ。
「もう余計な時間はないだろう。おれを、超えてみろ……!」
来る――!
真っ直ぐ、突っ込んで――あえて、私の背後まで回り込もうとする。
させない、見えているのなら、対処のしようはある。
「気功波っ!」
「!」
攻撃であらかじめ、進路を塞ぐ。
そのまま突っ切られれば、どうしようもない。
だけど、この高速軌道の中、私の事情まで推察できるものでもない。
攻撃が来ていて、避けないほうが異常だ。
ショウ兄さんは、大回りで逃げる。
それを視界にとらえたままだ――でも、決め手がない。
時間が来るより先にこちらがボロを出さない保証はない。
このまま時間切れというのも決着とは言えないだろう。
なら、ショウ兄さんを倒さなければ――
今の私は徒手空拳――『マグナムナックル』をどこかで当てることが出来れば――――
――それは不可能だ。
そもそものスピードが違う。
相手の攻撃を防ぐのと、こちらの攻撃を当てるのでは勝手が違う。
なら――
なら、どうすればいい?




