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不可視の物理
ショウ兄さんの足元の影が、泡のようにはじけた。
「さぁ……リミットまでの3分で、決着をつけようか!」
「っ!」
私はただ目の前のことに集中した。
――のに、胸元にショウ兄さんの蹴りを喰らって吹っ飛んでしまった。
「!????」
蹴りを貰ったことに気付いたのすら、吹っ飛んだ身体が地面にぶつかる寸前だった。
「ぐっ!」
背中が地面を強打し、バウンドする――
「どうした?」
その私の足をショウ兄さんは掴んでいた。
「そんな無防備でいいのか?」
ぐるんと景色が周り、ショウ兄さんの背中側へと投げられる。
「あぐ!」
地面を転がる私をショウ兄さんは冷たく見下ろす。
「……そんなもの、なのか?単純な蹴りに投げ――自分でいうのもどうかと思うが、スピードだけだ。
対応出来ないのか?」
「……」
失望、されているのだろうか。
だけど、いくら単純な攻撃と言っても見ることすらかなわない中で、どうすればいいというのか……
「……ヒントは充分やったし、自分でも気づいていただろ?」




