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動ける限り……
「…………」
「そう、だから、それはお前の力であり、強みだ」
「――え」
「教わった技を他と掛け合わせたりして、改良すること――
それを戦いの中で出来る」
「!」
「先程の、踊るような剣の流れで、『偽・無形の型』だったか?
これまでもそうだったんだろう?」
確かに、他にも『ソードマグナム』とかは戦いの中で思い付き、
編み出した技だ。
「……あるんじゃないか?まだ引き出しが」
「え――あ、いや――」
「まだ、繰り出していない――思いついていない技が、
お前の引き出しの中で眠っているんじゃないか?」
「――!!」
ショウ兄さんは木箱をその場に置いたまま、私の方へ前進する。
「さぁ、これでいい加減最後にしよう。
今からの攻防で、”それ”を引き出し、俺を打ち破ってみろ」
「っ!――そ、そんな手で、まだっ!?」
ショウ兄さんは左手をひらひらと振った。
「ああ、確かにこの手はまともに使えないな。
だから、木箱を抱えることをやめて、ここでケリをつけることにした」




