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オリジナル論
「――――!!」
「お前に二つ名がないのも、世間に出るのが一番遅かったに過ぎない。
いずれは、相応しい名がつくだろう」
「わ、私が……?」
「おかしいことなどない。
お前もおれ達と同じきょうだいだろう」
涙が出そうになる。
私は他のきょうだい達に、憧れとコンプレックスを抱いていた。
ショウ兄さんの言葉はその両方を刺激し、慰めになっていた。
「……っ、だっ、けど、『ソードマグナム』そのものは……全てがオリジナルとは言えないんです。
教わった技を応用しただけのっ……!」
「それも、まただ。そんなことは関係ない」
そう言うと、ショウ兄さんは、ふっと笑いがこぼれた。
「……考えれば、よく聞く話だろう?
この世の中にどれだけ”完全なオリジナル”があると思うんだ?
みんな何かしらの影響を受け、それを改良したものばかりだ。
仮に自分で考えて生み出した唯一無二なものがあったとしても、
それまでの経験だったり、積み重ねがあってこそ生み出される。
そういう意味では、”無から生み出されたオリジナル”なんて、まず存在しないだろ?」




