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満身創痍というには
「ああああああああああああっ!!」
直線の最大加速を行使した分、体勢を崩され放り投げられた形になったことで、
私の身はコントロール不可能になっていた。
「あ、ぐっ!?」
壁まで吹っ飛び、背中から叩きつけられた。
そのまま、ずるり、と落ち……私は地面にも叩きつけられた。
そんな中でも、必死に意識だけは繋ぎ止める。
それだけはどうにか……私の意地だった。
薄れそうになる意識をなんとか保ちながら、ショウ兄さんを探す。
やがて、離れた位置で膝をつくショウ兄さんが見える。
傍らには私の剣がなげだされていた。
「うっ、くぅ……」
それを見て、私は立ち上がった。
私のダメージも大きいが、ショウ兄さんも無事という訳にはいかない。
ショウ兄さんの左手は形こそ保っているものの、まともに動きそうもない。
「その、左手、では……木箱を抱えて、逃げる、のは無理、でしょう……?」
なんとか、言葉を紡ぎながら、投げかけたい言葉を発した。
ショウ兄さんは左手を抑え、俯きがちだった――――でも、口元に笑みを浮かべていた。




