クリス・コンプレックス
「お昼の時もそうでしたけど……どうして、そう思うんですか?」
「子供の頃から、鍛えることばっかりだったから、そういう女らしいことってわからないんだ」
「…………クリスさん」
「うん?」
「女らしい、ってなんなんだと思います」
「えっ……?そんなの、わからないよ」
「じゃあ、逆に男らしい、ってなんだと思いますか?」
「え?なんだろ……潔い、とか?」
「そうですね、よく物語に出てくる男らしい人は潔い人に書かれますね。
でも、じゃあ、潔い女の人は女らしくないんですか?」
「えっと……そんなことはない、んじゃないかな」
「そうですね、クリスさんはそういう意味では男らしい女の人だと思います。
でも、それが女らしくない理由にならないと思います」
「そう……なのかな?」
「そもそも、男らしい、女らしいっていうのはイメージでしかなくて、それが必ずしも性別に影響する訳じゃないんです。
だから、クリスさんもそんなイメージに捕らわれる必要はないんですよ」
「そっか……そう、だね」
「それに……クリスさんは男らしいかも知れませんが、今でもそれ以上に充分女らしいんですよ」
「私が……?」
「クリスさんの優しいところも、仕草が可愛いらしいところも、髪がいい匂いがするのも……他にもいっぱい女らしいところがあるんです。だから……これからはもっと、そういうところに気をつけてください。勿体無いですよ、そんなの」
「……わかった、セレナの言う通りにするよ」
私は毛布を被って横になった。
「……そうだ!クリスさんがよく眠れるように、子守笛を吹きましょう」
「子守笛?」
「はい、子守唄の口笛なんですけど、リラックスしてよく眠れるんですよ」
「そうなんだ、じゃあ、お願いしようかな」
「はい、ぐっすり眠ってくださいね」
セレナは私の傍に腰をおろし、その子守笛を吹いた。
落ち着く、リラックス出来る音色で、私は数瞬の内に眠りに落ちた。




