767/1085
近距離
また、来る……!
剣がある分、リーチはこちらが有利、先にこちらの剣が届く――――本当にそんな簡単か?
「っ!」
寸前に”スライド”、後方に回り込まれる。
手刀が迫る――首だ!
「つああっ!」
空振った剣の勢いを利用して、空中で前転する。
前のめりになることで上部を狙ったショウ兄さんの手刀から逃れる。
だけど、足からは近くなる。
ショウ兄さんは即座に手を引く動作と連動させ、足を振り抜いた。
腕で抱えるように頭をガードする。
直撃こそ避けたものの、ショウ兄さんの蹴りが、衝撃が、脳を揺らす。
「ぐっ!」
気を、持たせろ……!
直撃はしていないんだ、これはむしろ……好機なんだ!
「つか……まえた!」
「!」
曲げた肘にショウ兄さんの足を通し、腕を絡みつける。
この状態で、空手のショウ兄さんはまともな攻撃は出来ないはずだ。
でも、私は出来る。
「『フェニックス』……!」
火の鳥が生み出される。
「……『ライド』っ!」
そして、それを纏う。
「なに……!?」
この距離なら外しようがない……!




