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衝突
「ほら」
正面から来る!?
あ、いや……思考を乱してはいけない。
それが、ショウ兄さんの狙いだ。
冷静に剣を振るって迎え撃った。
「たぁっ!」
「おっと」
突っ込んできたはずなのに、”スライド”で刃から逃れる。
方向転換、からの回し蹴りで私の首を狙ってくる。
「そう簡単にはいきませんっ!」
私も蹴りで迎え撃つ、互いの右足が膝の辺りでぶつかり合い、衝撃で弾かれ合った。
斜め下に滑空していくように飛ぶショウ兄さん、
私は対角線に飛ぶが、重力に逆らう形になった分、余裕がある。
身体を捻り、両足を壁につけて、跳躍の溜めに入る。
ショウ兄さんは勢いそのまま飛ばされて、反対側の壁に叩きつけられそうだ。
追撃を考える――けど、先程と同じだ。
追撃をしても、モノに出来なければ、有利不利はひっくり返る。
真っ直線に追わずに回り込むように跳躍した。
「……そう来るか、そう来るだろうな」
ショウ兄さんは壁にぶつかるかという寸前、くるりと回り、壁を蹴った。




