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読み
なら、私がすべきことはなにか?
それは、ショウ兄さんが気持ちよく負けられる”答え”を示すことだろう。
「……」
必死にショウ兄さんの速度に喰らいつく、それはそれとして、無理に攻め込む必要もない。
速度さえ、ついていけば、私が有利な状況なのだ。
私から仕掛けて、その有利を崩す必要はない。
「ん……」
ショウ兄さんのスピードが遅くなる。
勿論、それでも仕掛ける必要はない。
私から仕掛ければ、ナイフを奪い返される可能性から、あらゆる不利を被る可能性がある。
だから、ここで狙うのはショウ兄さんから仕掛けてきたところの、カウンターなのだ。
それが、私が出した”答え”だった。
「……なるほど、そうくるか」
「……」
問題はショウ兄さんが乗ってくれるか。
逃げに徹されてはどうしようもない。
振り切られるか、ついていけても我慢比べになるかだけど――
「いいだろう、付き合ってやるさ」
この場において、ショウ兄さんは負けたがってるのだ。
当然、逃げ切り勝ちなんて選ばないのは見えていた。




