755/1085
攻め続ける
「はっ!」
斬りかかる。
やはりというべきか、”スライド”で避けられる。
その先へ追撃。
避けられる。
さらに追撃。
避ける。
追撃、避ける、追撃、避ける……
気付いたことがある。
リズムに乗り続ける限り、攻め手が止まることがない。
「……ふっ」
と、ショウ兄さんは剣をナイフで受け流した。
体勢は崩されない。
テンポを守ることを意識することで、流されても、次撃へ切り替える流れで、体勢を戻すことが出来る。
加えて、今のショウ兄さんはあえて、ナイフで受けたのではなく、必要に迫られてだと感じた。
”スライド”を続けることで、その連続使用か距離の限界点が来たのだろう。
つまり、今の状態をキープしている内は”スライド”は使えない。
――なら?
「ふんっ!」
テンポを乱さない程度に強く打ち込む。
「と……」
ショウ兄さんが後退気味に受ける。
ナイフと剣ではリーチ・強度を考えれば、打ち合うこと自体がナイフ側に不利だ。
それをショウ兄さんの技量でこなされてはいるものの、
ナイフ自体を破壊されないために、衝撃を逃がす必要がある。
――――それで、私の理想通りの距離になった。




