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踊りの本質
「そもそも、、踊りというのはそんな風にテンポを変えるものなのか?」
「……え?」
「本来、決まったテンポ、リズムを刻むものじゃなかったか?」
「そ、それは……」
そうだとは思う。
ただ、無理にでもテンポを変えないと――
「そうやって、変調しないといけないものか?」
「……へ?」
「相手を惑わずこと、それに囚われすぎていないか?
その剣本来のポテンシャルを見ているのか?」
「……!」
確かに、この技に決まった役割をはめ込んだままにして、精査していなかったかも知れない。
この剣の全てを見ていない。
なら、そこに何かあるのではないか、ショウ兄さんはそう言っているようだった。
「……」
短く息を吐く。
緊張のせいだろうか。
さっきから、何かをしようとする度に呼吸を意識してしまう。
みんなから、踊りを教えてもらった時を思い出す。
その時に最初に覚えた基本のステップを踏む。
変調はしない。
愚直に同じリズム、テンポを刻むことを意識する。
その先に何かがあることを信じて――私はショウ兄さんに仕掛けていった。




