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彼らが不得意なこと
事前に反応することでやり過ごした、そう思うと、ぞくりとしたものを感じた。
それもそうだ。
回復・治癒が出来ると言っても、その瞬間の痛みまで消える訳ではない。
我慢できないこともないけど、あんな強力な蹴り、出来ることなら何度も味わいたくはない。
「……リズムの変調。
それで、変則的にしているつもりなんだろうが、攻撃のモーションが同じだから、ワンパターンに感じるぞ」
「……!」
先程の『剣技・踊回剣舞』の駄目出しだった。
「悪いとは言わないが、ある程度お前の攻撃を捌ける人間相手には通用しないな」
咄嗟に出した技のクオリティ……そう考えれば、期待できるものではなかった。
「そもそも、お前の踊る剣……リズム、テンポを変えることで変則的にしてるつもりなんだろうが……」
と、そこで、ショウ兄さんは言葉を切った。
この歯切れの悪さは気になる。
「な、なんですか?」
「いや……踊りそのものは専門外なんだが」
「そ、それは私もです」
と、習得した時にみんなに見てもらったことを思い出した。




