謎の霧が発生したりするアレ
「み、見とれるって、私そんな女らしい体型じゃないし……」
子供の頃から鍛えていたせいだろうか、母や姉たちと比べても私は肉付きのいい方ではなかった。
「そういうのではなくて、その……」
「……スラっとして、かっこいいんです。モデル体型といいましょうか」
「もでる……?」
「あ、いえ、この世界にはない職業でしたわね……」
なんとなく、気まずくなって、その後は終始無言で、魚を食べていた。
しかし、その後の水浴びになるとこの話題は避けて通れなかった。
「でも……クリシュナさんの身体、綺麗ですね」
「……」
「そんな風に見ないでください……恥ずかしいんですよ、こんな筋肉のついた身体……」
「な、なにを言うんですか!胸もお尻も、わたしより、クリスさんの方があるじゃないですか!」
「そ、それは、セレナがまだ小さいからだし……」
「どうせ、幼児体型ですよ!」
「そこまでは言ってないよ……」
「そうですわ、今後充分成長の余地はありますわ」
「あの……一番胸の大きいシンシアさんに言われるとかえって傷つくんですが」
「ええっ!?」
「そう……だね。シンシアさん、一番女らしい体型ですし」
「あ、わた、あ、わ、あた、わ、アタシはそりゃ……貴族だったから、体型には気をつけないと……」
「あー!出身自慢ですかー!?」
「い、いや、そんなつもりじゃ……」
「……それはそうと、シンシアさん、外での水浴びも抵抗ないんですね、それも前世の?」
「あ、いや、そういう訳じゃないけど……入れないより、マシだからさ」
「ふん!貴族だから、毎日お風呂に入れるのは当たり前ですから、さぞお辛いことでしょうよ!」
「そんなに僻みっぽくならないでよ……アタシの前世ではお金持ちじゃなくても、
毎日お風呂入るのが当たり前だったし、さ」
「あー……それじゃあ、やっぱり、こういうのって厳しいのでは?」
「それは慣れていく……いきますわ。こうやって、皆さんとご一緒するのは楽しいですし」
「……ごめんなさい、よく考えるとわたし、感じ悪かったですよね」
「別に気にしてませんわ。私こそ配慮が足りなかったかも知れません」
「いえ、そんな……」
「そうだ、仲直りのしるしにお背中流させて下さい」
「せ、背中ですか?」
「ええ、わた、アタシの前世では、こういうの裸の付き合いって言うんだ」
「なんだか……いいですね、じゃあ、わたしもクリスさんの背中流してもいいですか」
「え、私?じゃあ……お願いしようかな」
そう言って、結局、三人で身体の洗いあいをした。
なんとなく、信頼関係が深くなった気がする。
これが、裸の付き合いの効果なのだろうか。




