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拳
どういう訳か――そういうのもおかしな話だけど、ショウ兄さんは終始、私に教えている。
どうすれば、いいのか。
その課題をクリアした時、ショウ兄さんを越えることが出来る。
もちろん、縛りありでの話だけど――
「……」
だけど、どうする?
間違いは指摘してくれる。
だけど、答えは私が出さなければならない。
……これは半分実戦だ。付け焼き刃でどうにかなるとは思えない。
なら、私の引き出しの中で見つけるしかない。
「『疾風拳――』」
一瞬で距離を詰める。
「拳でくるか。だが!」
ショウ兄さんはやはり、”スライド”で避ける。
それでも、先へ――
「『――瞬撃連打!』」
一撃目から、連撃への連鎖。
しかし、その悉くは当たらない。
「単純なスピードでは、追いつけないぞ」
わかっている。
ここで、変化だ。
それも、とびきりの――
「はっ!」
ハイキックを挟む。
当然、それも当たらない。
だけど、これは次への布石。
一瞬、ショウ兄さんの視界を覆うためだ。
「『疾風拳――マグナムナックル』ッ!!」




