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想像の拙さ
ショウ兄さんは壁に足を引っかけて、水が降り注ぐ、私を含む下を眺めていた。
「お、上手くいったな」
そう言うとショウ兄さんは、水が全て降ったのを確認すると、私の前に降りた。
「まったく……滅多に使わない魔法なんて使わせるなよ。
と……そう言えば、魔法は縛りに入れてなかったよな?」
『インフェルノ』は高位の火魔法だ。
普段使用してないのに、すぐに出せる辺り、魔法適正がありながら、あえて使っていなかったということだ。
「あんなもの、置いたままにしておく訳にはいかないだろ」
「……!」
「氷なら、自然に溶けるだろと考えたかも知れないが、それまで不必要に壁に負担を掛けるんだし、
溶けかた次第で、氷の塊が通行人の上に落ちるぞ」
「うっ……」
確かに私が考え足らずだった。
後になれば、処理をしないと、と考えたかも知れないけど、少なくとも今の私にその発想はなかった。
濡れ鼠のまま、私は立ち上がり、深く頭をさげた。
「ごめんなさい」
「まぁ……わかればいい」




