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墜落未遂
「……ふ」
ショウ兄さんはナイフで、剣を受け止めた。
あの、”スライド”ではない。
なら、あれは空中では使えないのかも知れない――
「――え」
だが、スライドしていた――私が、だ。
ナイフによる受け流し、それにより剣の刀身を理外の位置に流され、
私は空中なのに、倒れ込むように体勢を崩していた。
「――じゃ、お先」
と、ショウ兄さんは私の背中を足場にするように、蹴った。
「あああああああっ!」
落下していく私。
まさに、墜落。
地面に直撃する――――寸前に、私は止まった。
「……間に合った」
魔法を行使し、空中で私は停止する。
そもそも、空を飛び回ることくらいは出来る、魔力燃料の消費が激しいから、行わないけど、
こうして、落下の直前に”浮く”ことで、墜落を食い止めることが出来た。
……はじめてやってみたことだったけど。
「ショウ兄さん……!」
ショウ兄さんが飛んだ方向を見る。
尻目でこちらを見ながら、壁を蹴り進むショウ兄さんが見えた。




