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攻めあぐねる
しかし、するり、と剣はショウ兄さんをすり抜けていく。
同じだ、先程と。
スライドするような動きで、まるで剣の方が避けているように、避ける。
ただ、先程との違いは私の体勢。
前のめりでない分、次撃を繰り出せるし、ショウ兄さんも無理に反撃はしてこない。
しかし――
「どうした、こちらのミス待ちか?」
次撃、次々撃、次々々撃、次々々々撃と何度も斬りかかるが、ショウ兄さんをとらえることは出来ない。
単純な攻撃では無理だ。
技なら或いは――
「……はっ!」
あえて、飛び退き距離を取る。
「ほう、そう来るか。なら、次はどうする?」
わかったことは、変にがむしゃらに攻めれば、こちらの隙を作ってしまうということ。
ここはあえて、仕切り直す。
スピードなら、『隼剣』か『瞬風』か……
いや、そもそも、どうやってもスピードではかなわないのだから、相手の土俵で戦ってはいけない。
「ふぅー……はぁっ!!」
ステップを踏む、そこからリズムに乗る。
「ン……随分、面白い剣だな」
この『踊る剣』なら、或いは――




