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基本に立ち返る
「ショウ兄さん……」
「気を抜くなよ?
あくまで、テストだと言ったはずだ」
「……!」
「見込みがないようなら、容赦なく、終わらせるぞ。
全力で来い」
「……元より、です!」
私は剣を構え直した。
「がむしゃらに来るのと全力は違うぞ」
「……」
先程の私がそうだ。
それはわかっている……けど、どうすれば、私のベストが出せる……?
「……おれ達きょうだいの宿命だな」
「え」
「なまじ、実力があるだけだけに、格上との戦いかたがわからない」
「!」
ふぅ……と、ショウ兄さんは息を吐き出す。
「まずは視野を狭めず、普段通り戦ってみろ。
普段から手を抜いているのではなければ、それが、本来の戦い方……自分の中でベストなものだろ?」
「は、はいっ!」
確かにその通りだ。
何を私は考えていたのだろうか。
普段と違うやり方で急に上手くいくのなんて、逆に事故みたいなものだ。
「はぁっ!」
無理に突っ込まず、私の間合いで、ショウ兄さんに向けて剣を振るった。
「……先程よりは断然マシだな」




