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本音
「――それでもッ!余計なんかじゃないんですっっっ!!」
シンシアさんを直視出来ない。
だから、せめて、声だけはと張り上げた。
「ぅ――」
「確かに、アル兄さんを探すことには必要ないかも知れない。
でも、これは”私の旅”だ!
”私の旅”には必要なものなんです!」
「!!」
セレナやちーちゃん、シンシアさんとの旅を余計なものだとは思いたくない。
だから、私は思いのたけを叫んでいた。
「……なるほど」
そして、その想いは確かに、ショウ兄さんにも届いていた。
「その心意気はよし。
だが、アル兄さんのために、この金が必要だというのは、撤回するということでいいんだな?」
「……はい。都合のいい、身勝手な話なのは重々承知してます。
ですが、旅のために必要なお金なんです。返してもらえないでしょうか……」
私は深く頭を下げた。
それを見たシンシアさんも私の横に立ち同じように頭を下げた。
「……ふむ。まぁ、このままだと妹から金を巻き上げた兄という構図になってしまうよな」
「!」
「だけど、はい、そうですかと、そのまま返すというのも、随分甘い話だと思わないか?」




