724/1085
逆説的
ふぅ……と、ショウ兄さんは長い息を吐いた。
そして、憐れむような、そんな優しい目で私を見た。
「逆だよ、クリス」
「え……?」
「お前が思っている”ソレ”が本当に余計なものだと思っていないのなら、
おれの言葉がなんのことを刺しているのか、わからないはずだ」
「――!」
「逆にそうやって、間髪入れずに否定するということは、
”何が余計なもの”になり得ているのか、自覚があるということだ」
「っ――」
否定が出来なかった。
否定しないと、と思うのに、言葉が何も思い浮かばない。
故に、それはショウ兄さんの言葉を肯定したのと、同義だった。
「…………そっか、そうだったん…………だね」
シンシアさんの声、その声の暗さに、私はシンシアさんの顔を見ることが出来なかった。
「は、はは…………確かに、そうだ。
アタシは……私達はクリシュナさんの旅に勝手についてきただけだった、ですわ」
「ん……?」
「そうだった、わ。アタ、私は、貴女の旅では、余計なお荷物だったんですね」
シンシアさんの何かが、崩壊している――




