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必要、不必要
「アル兄さんを探す旅をしてるんです!
そのお金は旅のための資金なんです!」
「……」
「だから――」
「本当に、そうか?」
背筋をつたって流れたものが、身体の芯から冷やす――
「え――」
どうしてだろう。
何故、私は否定できない――?
「自覚はなくとも、心当たりはあるようだな」
「あ――いや、私、は――」
「本当に、そうなら、そんな金むしろ必要ないだろ?」
心臓が、早くなる――
呼吸が荒くなる、動悸が――
「わかるだろう?元々、お前は金なんてなくても、どうにでも出来たんだ」
そうだ。
そもそも、私は――
「お前の力なら、本当に必要最低限の金だけでよかった。
お前の足なら、馬車もいらない。
海も泳いでこれた。
食糧だって、自力で調達できるし、
キャンプセットか、最悪何もなくとも、夜を超すことが出来た。
お前の旅に金なんて必要なかったんだ」
「っ……」
「それでも、要る理由はなんだ?
わかるだろう?
”余計なもの”を背負いこんだからだ」
「よ、余計なものなんかじゃないですっ!」




