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正論という暴力
「プライド、ですか……開き直ってると、思ってもらっても結構ですが、
私にそんなものありませんし、貴族が重んじるプライドなんて、下らないと思っています」
それは吐き捨てるような、シンシアさんの本音だった。
「……」
ショウ兄さんは、そんなシンシアさんを値踏みするかのように、
口元に手を当てて、少し見下ろすように、視線を送る。
シンシアさんは、それに対抗するように、キッと眼光を強めた。
が――
「ふはっ」
その様子を見て、ショウ兄さんは笑った。
「はははは!」
「な、何がおかしいんです?!」
「あ、いや、失礼、馬鹿にするつもりはありません。
ですが――ーええ、本音を言ってもらって大変結構なんですが、それで、事態は変わりませんよ」
「っ」
「あなたの覚悟がどうであれ、契約は契約、勝負は勝負です。
まさか、負けるとは思ってなかったなんて、言いませんよね、
自分はあなたと妹がやってることと同じことをしただけですよ?」
「!!」
シンシアさんは反論出来ずに俯いた。




