714/1085
勝負師
「今の内に挑戦者を増やしましょう。それで、短時間の内に目標額まで行きます」
「……どうやって、ですか?」
「クリシュナさんは、どうして、挑戦者が現れると思いますか」
「え?それは……自分の力に自信がある?」
「それはある程度はそうでしょうが、目的としては別のところですわ」
「お金ですか?」
「ええ、要はそういうことです。賞金を吊り上げれば5万ルドーで立ち止まらない人でも、
試しに挑戦してみようとなるはずですわ」
「なるほど、じゃあ、いくらにするんですか?」
すると、シンシアさんは口元に手を当てた。
「ここが勝負所で……ね。
元々、全部勝つつもりなんだから、ここは……全ツッパね」
「え?」
――
「アームレスリングチャレンジ?」
遊び人風というか、軽薄そうな男が足を止めた。
「お、やってみるかい?」
シンシアさんは罠にかかったカモを逃すまいと、すぐさま声をかけた。
「んー、別に力に自信あるわけじゃねーし」
「残念、今キャリーオーバー中なのに」
「キャリーオーバー?」




