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日陰者?
私達はそそくさと撤収し、別の場所で再挑戦ということになった。
変装も別の姿に変えて、あえて、路地裏に回った。
「ここですわ。ここにしましょう!」
「ここですか?」
シンシアさんが指定したのは、日陰になる狭い道だった。
「シンシアさんの決定に従いますけど、どうしてこんなジメジメしたところなんです?」
「私、考えましたの。先程の失敗は目立ち過ぎたことだと」
そうかなぁ……原因は全然違う要因だと思うけど。
「いえ、遅かれ早かれ、こうなってはいましたわ」
……あれ、口には出してないはずだけど。
「いくら、接戦を演じたとしても、クリシュナさんが勝ち続ければ、挑戦者は減るのですわ。
蓄積疲労があるとしても、先程のような大男さんを倒してしまえば、
余程、自身がない限り、いくら相手が疲れていても、戦おうとは思いませんわ」
「確かに」
「先程のほとぼりを冷ます意味でも、目立たないところでやるのが、ベストですわ」
「でも、挑戦者、来ますかね?」
「ふふふ、ここは丁度大通りへの抜け道ですわ。それなりに通行量は見込めますわ!」




