責任の所在とかいう
「ええ、その通りです」
「っ!ちーちゃんはどこに!?追ったんですか!?」
「この現状を正しく理解しておいででしょうか?
設備は壊され、私も看護師も怪我を負いました。
その上で、これだけの事が出来る人間を追え、と?」
「うっ……な、なら、どちらに行ったかだけでもわかりますか!?
私が追います!」
「残念ながらわかりかねます。土煙が舞って、視界が悪かったですから」
「そう……ですか」
それでも、ちーちゃんを放っておく訳にはいかない。
私はその場を飛び出そうとした。
「お待ちを。こちらの話は終わっていません」
それまで押し黙っていたシンシアさんが口を開いた。
「……弁済のことでしょうか。」
「それは勿論。加えて、チヒロさんの受け入れも拒否させて頂きます」
「……!」
「一度患者として受け入れた以上、このような処置を取るのも心苦しいものもありますが、
事前にお話を伺いもせず、しでかした事が事ですので、到底当院ではお預かり出来ません。
申し訳ありませんが」
「それは……そうでしょうね」
極めて利己的に考えるなら、預けた以上ちーちゃんを所在不明にさせた不満を感じないことはない。
それでも、ちーちゃんは部屋を壊し、人を傷つけた以上、責はこちらにある。
「いえ……すみません……こちらこそ、申し訳ありませんでした」




