はじめてのお仕事 後編
「あの……本当に重くない?」
「大丈夫です」
「流石におじさんは歩こうか?」
「問題ないですよ」
「そ、そうかい?」
イワノフさんにも荷台に乗ってもらい、私はそれを引いていた。
その方がむしろ自分のペースでリアカーを引けるから都合がよかった。
……
街まで後、一息というところまで来ていた。
「へぇ、お嬢ちゃん、あの英雄アルスフォードを探してるのかい」
「そうなんです。イワノフさんは知りませんか?」
「いやぁ、知らないなぁ」
「そうですか……」
ちなみに、あえて私が妹であることは言っていない。
変に気を使われても嫌だし、私がやった訳でもないことを自慢するようで気後れするからだ。
「ところで、イワノフさんは毎日こんなことを?」
「ははは、流石に毎日は無理だよ。ま、仕入れの度にね」
「それでも大変じゃないんですか?」
「まぁね。でも、出来るだけいい商品を仕入れたいからさ」
「イワノフさんはこの仕事に誇りを持ってるんですね」
「いやぁ~……ははは、参ったなこりゃ」
「――!」
その時、不穏な気配を感じ、私は歩みを止めていた。
「どうしたんだい、お嬢ちゃん。流石に疲れたかい?」
「……誰かが遠くから見てます。野盗かも知れません」
「なっ!」
こちらが感づいたことに気付いたのか、野盗達は姿を表した。
「ひゃっはー!有り金に食糧、全部置いていってもらおうか!」
野盗達は奇抜な髪型に上半身裸という奇妙な出で立ちだった。
「い、いつもより多い!お嬢ちゃん、銃を!」
「……いえ、必要ありません」
「えっ!?」
野盗の数は前方に約10人、後方に約10人の20人程――だが、固まってくれているならやりやすい。
「なにか事情があるのかも知れませんが、強奪は人の道から外れたこと。
大人しく引き返すなら手荒な真似はしません」
「なに言ってんだァ?この女ァ!」
「よく見りゃ上玉じゃねえか!へへ!大人の怖さを教えてやるよ!」
「……警告はしましたよ?」