親子のこれから
「……おかえり、お母さん」
「……ただいま、アニス」
アミテさんの場合、アンデッド化は引き金だ。
先祖返りによって蘇生したことは、アンデッド化が解けたことで、元に戻るということはない。
半モンスター化したとはいえ、それは奇跡の生還だと言えた。
今後、二人と集落の人々の関係がどうなっていくかまではわからない。
そもそも、集落の日常から『アンデッド』がなくなったことで、正常化するのか、
或るいは崩壊してしまうのか、
それは私にはわからないことだ。
そもそも、冷たい言い分だが、集落の人達が今後どうなるかまでは気にしていられない。
正常化するなら、それでよし。
崩壊したとしても……元の幻覚剤が蔓延っているよりはマシだし、
そもそも、そこまで面倒を見るつもりもない。
ただ、恐らくは集落の人々は唯一の薬師だったアミテさんの忠告を、
無視したツケを払わされることになるだろう。
アミテさん親子と集落のこれからはその清算が終わってからになるだろう。
私達が出来るのはここまでだ。
親子と集落が今後どうなるかはわからないけど、
子供のこれからは、親が見守る。
アニスはきっと、大丈夫だろう。
アミテさんがいるのだから。
私達は母が不在の短い間ながら、バトンを繋ぐことが出来たと思う。




