強者
この距離ならば、一息で到着する。
それなら、間に合う――そう思っていた。
「うわぁああああっ!!」
だけど、私は到着した時には終わっていた。
「……え?」
野盗達は散り散りに吹き飛び、倒れていた。
そして、襲われていたと思っていた少女は、静かに目を閉じ、佇んでいた。
「あ、あなたは……?」
少女は静かに目を開き、私を見据えた。
少女の恰好は少々奇抜だった。
水夫のような服に丈の短いスカート……その上に茶色の質素な皮のマントを羽織っていた。
抜き身の剣を右手で持ち、剣先は地面を向いていた。
「……」
少女は何も言葉を発さず、こちらをただ見つめたままだった。
何もわからない。
何もわからないと言うのに――
私はただ、それだけで、彼女がかなりの手練れだとわかってしまった。
彼女の瞳には強者が持ち得る威圧感があったのだ。
確かに、有象無象の野盗なら、一息でやられただろう。
「ま、待ってください。私は敵対したい訳では……」
戦う意思がないことを見せようと、両手を上げて、一歩前に踏み出した。
「――!」
だが、そのことが逆に彼女を刺激したのか、彼女は私の目の前に迫り――
「!?」
剣を振り下ろした――ところを、鞘から抜ききれていない剣で受け止めた。




