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伏蝶
アミテさんが立ちつくしていた方を見ると、恐る恐るといった形でアミテさんに近づくアニスがいた。
傍らには、セレナ蝶が付き添っていた。
「お、お母さん!?」
アミテさんは答えない。
いや――
「……答えられないんやな」
セレナ蝶はまるで、全てを理解してるかのように言い放つ。
「種類・分類としては、違うかも知れへんけど、性質としてはわたしとそう変わらへんと思う」
「どういう、こと?」
「それはな……」
……いや、待って、スルー出来ないことが多い。
「なんで、アニスと普通に会話出来てるの!?」
それは、ある意味では、アニスの前に出していなかったセレナ蝶の存在をアニスが受け入れた、
という意味もない訳ではないけど、
手話でコミュニケーションを取っていたアニスが普通に話しているという意味合いのほうが大きい。
「……話の腰を追ってまで、それ重要なんか?」
「う……!」
それは確かにその通りだ。
まさか、蝶に諭されるとは思わなかった。
「……ま、ええで、せっかくやし、クリスはんらにも、説明したるわ」




