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当たり前の道徳
「そんなの、決まってるではないですか……」
「え……」
「私達が……仲間内で刃をむけあうなんてあってはならない事ですわ」
「そんなこと……」
わかりきっていることだ。
それでも、意見がぶつかりあう以上……チヒロが剣を抜いた以上、止めるにこちらも剣を抜く必要がある。
「…………」
いや、それは詭弁か。
仲間内で剣を向け合ったことに、変わりはない。
そういう意味ではチヒロは正気を失っていたとしても、私は自分の意思によるものだ。
「……!そうだ、チヒ――」
チヒロは硬直したいた。
視線の先は、シンシアさんの飛び散った血をずっと見つめていた。
「……」
私にも、アミテさんにも襲いかかろうという感じはない。
「――ちーちゃん?」
「……う」
泣きそうな顔だ。
そう思った次の瞬間……
「うぁぁあああああああああああああああああっ!!」
本当にちーちゃんは泣きだしたのだ。




