逆自動追尾
「『抜刀・戦闘特化』」
チヒロの口から、その言葉を聞いた時、いよいよ他に方法がないのだと、理解した。
腰を落とし、深く構える。
”受ける”ための姿勢。
それでも、最初はこちらからは仕掛けない。
「――――」
チヒロは私を見つめる。
その視線に微かな希望を抱くが――
「『閃沙』――」
次の瞬間には打ち砕かれた。
「――『旋風』」
「!」
聞き覚えのない技。
チヒロはその大剣を大きく振り上げた。
私は身構える――より先に風が、刃となり襲いかかる。
仕掛ける前に見えた、そのモーションが既に技の大元。
既に術中。
初見の技、に対処法も分からずに無闇にぶつかるのは避けたい。
亀のように身を固めて防御姿勢を取る。
――が、風は私をすり抜けていく。
「っ!」
しまった。
チヒロの主張は一貫していた。
アミテさんは、倒すべきモンスターだと。
ならば、当然狙いは私ではなく――
「アミテさんっ!」
こうなれば、なりふり構ってはいられない。
私は、アミテさんを守る為に、バックステップで飛び込むように、風の刃に当たりにいった。
このところ、土曜更新の流れになっていましたが、明日は厳しそうなので先になんとか書きました




