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深層にあるモノ
「――あ」
あれ程願ったことなのに、
目の前の出来事が信じられず、私は固まっていた。
「…………」
仮称アミテも事態を把握してきれていないのか、なすがままになっていた。
その反応がどうにも人間的で、思わず涙が出そうになった。
ああ、そうだ。きっと、この人は――
「……『アニ……ス』」
「!!?」
声よりは、気配に反応して振り返った。
後方にはちーちゃんに連れられて、アニスがこちらを見つめていた。
「おかあ、さん……?」
手話ではない、たどたどしくだが、それでも、アニスはそう声に出していた。
「…………」
アミテさんは、アニスを見つめ続ける。
「お母さん、なの?」
「…………『ア』」
するとアミテさんは、空を見上げた。
「『あああああああああああああああああああああああああアあああアアああッ!!』」
記憶のフラッシュバック。
何故、私がそれを感じ取れたかわからないけど、
今まさに、それがアミテさんの身に起きていることが感じ取れた。
そして、アミテさんは――
”停止”した。




