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打ち砕く、心
だけど……
「ゥゥ――」
「くっ!」
仮称アミテは強く押し込んでくる。
それを私はそれ以上の力で押し返して、仮称アミテは離れた。
「アミテさん!」
「『邪魔を、するな!』」
ただ、防いでるだけでは駄目だ。
そして、説得をしようにも取り付く島もない。
なら、アミテさんの心を折るしかない。
「……駄目ですよ、あなたでは勝てない!」
「――」
「私がいる限り、あなたは誰も殺せない、殺させない!」
「――ゥゥゥォォオオオオッ!」
私の声を掻き消そうとするように、刃が振るわれる。
それを剣で受け止めて、考える。
この刃が折れれば、心も折れるだろうか……?
刃となるだけの硬度。
鋼の剣と打ちあうだけはある。
だけど、あくまで、生体から生み出されたものだ。
鋼程強度がもつとも思えないし、
どんなものでも、耐久性の限界はあるはずだ。
なら――
私は剣を左手で逆手に持ち、前に構える。
――そして、右手を引き絞る。
「――セット」
意識を右の手のひらに。
まだ不完全だけど、私の最大火力なら刃を打ち砕けるかも知れない。




