不慣れな怪物
集落の惨状も気にはなるけど、そこに気をさいていては、アミテさんの対処がおろそかになってしまう。
目の前のことに集中しなければ……
「アミテさん、私は惑わしてなんかいません!話を聞いてください!」
「ウウ……『喋るなぁ!エアスト・バレットォッ!』」
風の刃が散り散りに放出される。
私達を取り囲むように、風の刃が四方八方に散らばる。
「これは……」
すると、仮称アミテが腕を突き出したかと思うと、その拳を握りしめた。
「――『収束!』」
「!」
呼びかけに応じ、散らばった風の刃が私とロアンに向けて、四方八方から襲いかかる。
私単独なら、剣で弾きながら、最小限の動きでやり過ごすことも可能だけど、
ロアンを守りながらだと辛い部分がある。
風の刃の群れを充分に引きつけると私は掌を突き出した。
「『ジャイロ・エアスピット』!」
風魔法は同じ風魔法で相殺することが出来る。
川の流れが大きな流れに尽き従うように、同質の魔法なら、より強い方へと流れるからだ。
そして――
「はっ!」
「――!!」
仮称アミテの刃を剣で受け止める。
魔法を放った隙をついて、仮称アミテが直接仕掛けてくることは読めていた。
やはり、アミテさんは戦い慣れしてるように見えない。
故に行動予測はある程度出来た。




