間に立つ
風の刃を突き立てられ、ロアンは吹き飛んだかと思うと、樹木に身体をぶつけ、地面へと叩きつけられた。
「まずい、今回復を――」
ロアンの元へ、回復魔法を展開しようと駆け寄ろうとしたところを、仮称アミテは立ちふさがった。
「――」
「あ、アミテさ――」
「『いい加減にしろーーっ!』」
振り下ろされる二本の刃を一本の剣を斜めに構えることで受け止める。
「…………やっぱり、アミテさんなんだ」
「『何度も同じことを!』」
仮称アミテの力が増し、刃が重くなる。
やはり、この過剰な反応はアミテさん本人の可能性が高い。
加えて、ロアンに対する敵意の強さも、自分を殺そうとした者への恨み――
あるいは、娘のアニスに危害が加わるであろう危惧感からかも知れない。
そう考えるなら、ロアンとの間に立つべきではないかも知れない。
けど――
「ロアンっ!生きてますか!?」
「う……ぐ……」
まだ、生きている。
それなら、”約束”は有効だ。
ここまで、する必要があるのか、そう思わないでもない面もあるけど。
それに――
このまま、アミテさんにロアンを殺させてはいけない、そんな気がしてならない。
何か取り返しがつかなくなる。
そんな予感があった。




