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声と叫び
「…………」
ロアンはまさに絶句と言ったところだった。
だけど、確かに否定出来る要素はなく――そもそも、肯定も否定も事実にしか出来ない。
「どうなんですか?あなたはアミテさんなんですか?」
そう口にするのは、自分の推測に自信を持っていた――半ば確信があったからだ。
それこそ、ただのバケモノだというのなら、まともに意思疎通がはかれなくてもおかしくない。
元々人間――アミテさんだという確信があったからこそ、こうして、言葉を投げかけている側面があった。
「――ア、ア、ア」
仮称アミテは何かを伝えようとしているように見えた。
しかし、すぐにその口をつぐんだ。
「アミテさん!!」
仮に本物のアミテさんだとしても、発声器官が異なっているかも知れない。
それでも、反応を示したということは、少なくとも意思疎通がとれる余地があるということだ。
「アミテさん、なんですかっ!?」
「ウ、ア――」
「アミテ――」
「ア、ア――『そんな風にワタシを呼ぶなぁっ!!』」
その『叫び』は明らかに”発声”されたものではなかった。




