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炎上
――
死体に見えるよう肉塊を用意し、地下を確認する。
『アンデッド』を生産する機械が動き、タバコ状に巻かれて、出てきていた。
「『フェニックス』!」
炎の鳥が、その全てを飲み込む。
これで、この地で『アンデッド』は生まれないだろう、”とりあえず”ではあるけど……
根本の解決になるかはわからないけど、これで少なくともアニスに危害を加えようとする者はいなくなる。
「『フェニックス・ライド』!」
地下から、一気に地上の天井まで突き破り飛び出す。
炎をはぎ取るように、空中で回転をかけ、炎上する拠点を見下ろす。
それを確認したまま、私は近くの森林へと着地した。
その場にはロアンもいる。
燃え盛るかつての拠点を、見つめる表情は読めなかった。
騒ぎを聞きつけた、集落の人々も次々と家を飛び出し、燃える拠点を遠巻きに見ている。
しかし、燃え盛る炎の勢いを見て、彼らは何も出来なかった。しようともしなかった。
それは諦めか、無気力感か、あるいはその判断さえついていないのか……
ついに燃え尽きるまで、彼らは動こうとしなかった。




