心のままに怒る、という選択
「なんで……っ!」
「子供の内はわかってなくても、いずれ成長するにつれて気付くだろう。
そういう判断だったんです」
「だからって、あんな小さな子を……!」
しかし、だ。
彼らがその行動を起こさなければ、私達が気付くこともなかった。
そういう”巡り”が、アニスを救うことになるのかも知れない…………
「……もうわかりました。結構です」
「え?」
「結局はこんな場所があるから、いけないんです」
「……」
「『アンデッド』なんてものを、生み出すこの拠点がなければ……!」
「それが、あなたの判断なら……自分には反対は出来ません」
短絡的だろうか。
だけど、この『アンデッド』工場がなければ、マフィア達がアニスにこだわる理由はなくなる。
集落の人々は、依存症に苦しむかも知れないけど、
薬物に手を出して良い訳がない。
それが、アニス達親子への仕打ちへの罰だというなら、軽すぎるくらいだ。
ロアンとの約束だって、死んだことにするには、
拠点ごとふっ飛ばしてしまうのが一番都合がいいだろう。
そして、何より……どんな言葉で取り繕ったとしても、
私がこんな場所の存在そのものを許容出来なくなっていた。




