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異常集団の中の常人
「開き直るつもりはありませんが……大なり小なり商売はそういうものですよ。
安く仕入れて、高く売る。それが――」
「それが、同じ相手であり、尚且つ違法な商品であることが問題なんでしょう!」
「……ええ、全くもっておっしゃる通りです」
今さら自分達を正当化しようと思わなかった。
まさか、こんな――――
「まさか、こんな台詞、二度も吐くとは思いませんでしたよ」
「――――っ!」
カチャンとピースがはまる音がした。
「アミテさん、ですか!?」
「ええ、そうです」
そうか、考えてみたら、有り得る話だ。
薬師として『アンデッド』の異常性に気づいていれば、
当然『アンデッド』を摂取しようとはしないだろう。
そうなれば、”まとも”なアミテさんは、集落の中で起こる”異常”にも気付けるはずだ。
「じ、じゃあ、あなたがアミテさんを殺したのは……」
「……まぁ、勿論、『アンデッド』の事もそうですよ?
ただ、”今は違法じゃない”以上、それだけなら、見逃す判断も出来ました」
「っ」
アミテさんは”正常”であったから、殺されたなんて、そんなひどい話はない。




