追い詰められているのは彼らだった。
「……そうですね、結局はあなたが信じるかどうかです」
口を割るのはどうしても、自身の決断でしかない。
手は尽くしたと思う。
その上でロアンがどう判断するかは、ロアン次第でしかない。
「あなたがどう行動するか、その責任はあなたしかとれません」
だから、せめてもの言葉を添えた。
「……せいぜい、後悔しないでくださいね?」
同じように、私が、そしてロアンがどう行動しようと、組織がどう判断するかは組織次第だ。
「……っ」
私はロアンに背を向ける。
こうなれば、私に出来るのは不安を煽ることだけだ。
「あなたが口を割らなかったとしても私は真実を掴んでみせます。
その上で”生きている”あなたを見て、組織がどう判断するか……あなたがどうするか、見ものです」
吐き捨てるようにそう言った。
私に協力しないということは、偽装死体も生まれないということだ。
その上で彼が裏切りをしていないという証明が出来るのか、それはロアン次第だ。
それ以前に、これから私が向かうのは秘密があるであろう、地下だ。
彼らはすでに失態を起こしている。
その上で、組織の報復を逃れる方法なんて、上手く死ぬしかないはずだ。




