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必要だったのは、きっかけだ
……結局のところ、きっかけがあればいいのだ。
難しく考えすぎる必要はない。
単純に私には、彼ら程度の武力では抑えられないほどの力を持っている以上、
彼らが明確にそうである証拠を掴むより、
私が力を行使するだけの理由があれば、よかったのだと今更になって、気付いた。
彼らが非合法組織であり、犯罪に手を染めているという状況証拠があるのだから、
理由というなら、それで充分だった。
そもそも、私自身は官憲のような正式な存在ではないのだ。
どれだけ証拠を理由を作ろうとも、その力の行使は私刑と捉えられても、仕方ない。
だから、私はどこかで、そのラインを踏み越えなければならなかった。
自身の正当性よりも、他者の救済を優先するならば――
……
「ぐっ……!」
ロアンが、床に転がる。
私に不意打ちを仕掛けようとして、返り討ちにあったからだ。
あの後、私達を見張っていた、非合法組織の三人は、おおよそ私がこれまで推測していた事実を認めた。
違法な”煙草”、”アミテさんの暗殺”、”アニスの殺害(未遂)”を、だ。
そして、自分達のまとめ役がロアンであることも――




